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近距離IoT通信の要 —ZigBeeとは?仕組みとおすすめ製品まとめ

スマートホーム2025-11-27 に更新

この記事では、Wi-Fi/Bluetoothとは異なる通信規格「ZigBee(ジグビー)」の仕組みを、初心者向けにわかりやすく解説し、あわせておすすめの製品も紹介します。「電池がすぐ切れる」「反応が遅い」「メーカー同士が連携しない」といったスマートホームに関する悩みは通信方式の特性を理解し、適切に活用すれば解決できるので、この記事を参考にして、より安定稼動するスマートホーム化を目指していきましょう。

そもそもZigbeeとは?

一言でいうと「電池で長く動く小さな IoT 機器を、たくさん・安定してつなぐための無線規格」です。センサーや照明、スイッチなど、常に動き続けるデバイスを超低電力で動かしながら、数十〜数千の端末をまとめて管理できるように設計されています。そのため、スマートホームだけでなく、産業用途のセンサーネットワークなどでも広く使われています。

ZigBeeは「静かな裏方ネットワーク」

上述の文章だけではイメージが掴みにくいので、私たちの身近な通信技術であるWi-Fiと比較し、身近な物に例えてまとめたのが以下の表です。

身近なものへの置き換え

用途

Wi-Fi

高速道路

動画・ゲーム・PC など、大量のデータを高速でやり取りする

ZigBee

住宅街の細い生活道路

温度センサー・ドアセンサー・照明・スイッチなど、小さなデータをこまめに確実に届ける

つまり、ZigBeeは「高速道路のような直線的な超スピードを出すのではなく、住宅街のような多くの生活を支える裏方の道路を這っていく」ようなイメージです。

生活道路のイメージ画像

技術的背景とネットワーク構造

ZigBeeは「IEEE 802.15.4」という国際規格をベースに設計されています。Wi-Fi(IEEE 802.11)とは全く別物で、通信速度より「省電力」「安定性」「多数接続」に重きを置いています。主に 2.4GHz 帯を使用しますが、地域や用途によって 868MHz / 900MHz 帯も使えます。

また、ZigBeeは「メッシュネットワーク」という賢い仕組みを持っています。これは、ルーターのデバイスが多数存在し、それぞれが近くの機器同士をバケツリレーのように通信させる仕組みです。どれか1台が故障しても、別のルートを通って通信が継続されるため、壊れにくく、止まりにくいネットワークを作れます。

ZigBeeの4つの特徴

ZigBeeは静かな裏方ネットワークと表現しましたが、まだ抽象的な感じが残っているので、4つの特徴に分けて紹介します。一言で表現すると「信頼性が高くて消費電力が少なく、万単位の同時接続を可能とする代わりに通信速度が遅い」仕組みです。

信頼性:メッシュネットワークによる止まりにくい仕組み

メッシュネットワークのイメージ画像

ZigBeeの機器は「コーディネータ(ハブ)」「ルーター」「エンドデバイス」の3種類があり、特に ルーター が自動的に通信を中継します。これにより、次のようなメリットがあります。

  • 家の構造に左右されにくい
  • 電波が届きにくい部屋でも他のデバイス経由で通信可能
  • ルートが複数あるため、障害に強い

Wi-Fiのように「1台のルーターに負荷が集中する」問題が起きにくい点もポイントです。

電力:超低消費な製品多数

ZigBeeのエンドデバイスは「必要な時だけ起動し、すぐにスリープ状態になる」という省エネ設計のため、ボタン電池1個で数年動く製品も珍しくありません。

スマートホームのセンサー類(温湿度・ドア開閉など)は、ほぼすべて ZigBee が採用されている理由がここにあります。

接続性:理論上は同時に65,000台を同時接続可能

ZigBeeネットワークは論理的には最大65,000台以上のデバイスを接続できます。家庭用途ではそこまで必要ありませんが、工場・オフィス・集合住宅などの大規模ネットワークでは大きなメリットになります。

通信速度:「あえて」遅い最大250kbps

ZigBeeは最高でも 250 kbps と低速です。しかしこれは欠点ではなく、以下のための戦略的な設計です。

  • 電力消費を最小に抑える
  • 多数のデバイスを安定して接続する
  • センサー用途に十分な性能に絞る

動画や音声のような大量データには向きませんが、スマートホーム機器には最適です。

ZigBeeがあるとユーザーにとって便利なことは?

スマートホームの自動化が本当に実用的になる

ZigBeeセンサーやスイッチを組み合わせると、スマートホーム化においてより柔軟な動作が可能となります。例えば以下のような例がわかりやすいと重します。

  • 温度が27℃を超えたらエアコンON
  • 帰宅時にドアセンサーが反応 → 玄関照明ON
  • 寝室の湿度が下がったら加湿器ON
  • 外出時には全照明をまとめてOFF

これらはZigBeeの低遅延・高信頼性によってストレスなく動くため、実用性が非常に高いです。

メーカーをまたいで自由に組み合わせられる

ZigBee規格は Connectivity Standards Alliance(CSA) によって統一されています。そのため、ZigBee対応であれば異なるメーカーの製品でも同じZigBee ハブで動作します。特定の会社の製品だけを買い続ける必要がないため、ユーザーにとって非常に大きなメリットです。

ハブを使えばAlexa / Google Home / HomeKit にも対応

近年発売されているスマートスピーカーやスマートリモコンにはZigBeeハブが搭載されているため、これらを中心に据えると以下のプラットフォームとの連携が可能となります。

  • Amazon Alexa
  • Google Home
  • Apple HomeKit
  • Home Assistant
  • SmartThings

こうすることで、音声操作や外出先からの遠隔操作も簡単になります。

運用コストが安い(バッテリー交換が少ない)

ZigBeeセンサーはバッテリーが数年持つため、交換作業がほとんど不要です。「気づいたら電池切れで動かない…」というトラブルが少ないのも強みです。

ZigBeeの課題や気をつけたいポイント

2.4GHz帯は干渉しやすい

ZigBeeは Wi-Fi や Bluetooth と同じ 2.4GHz を使っているため、大量のWi-Fi機器がある場所や電子レンジの近く、Bluetooth機器が多い環境では干渉しやすいため、設置する際に意識しないと正常に作動しない場合があります。

通信速度が遅いので、大容量データのやり取りは苦手

250 kbps のため、以下の用途には不向きです。

  • カメラの動画伝送
  • 音声データ
  • 大型ファームウェアの高速更新

これらは Wi-Fi や Thread(Matter)などを使うべきです。

ZigBee対応製品を一部紹介

主な家庭用製品は照明や各種センサー、カメラ、ハブのような、低電力消費で十分に稼働するものが中心です。今回はこの中から一部を紹介します。

Aqara Hub M2:赤外線スマートリモコン兼ハブ

本体正面画像
本体側面画像

価格(2025年11月時点)

¥8,980

カラー

ブラック

サイズ

100.5 × 30.75 mm(直径 × 高さ)

重量

約 130 g

入力電源

Micro-USB 5V / 1A – 2A

ポート

RJ-45(有線LAN)、USB-A、Micro-USB(給電)

無線通信規格

Wi-Fi 2.4GHz、Zigbee 3.0、BLE 5.0

動作環境

温度 5 – 50 ℃、湿度 0 – 95 % RH(結露なし)

音声アシスタント

Amazon Alexa、Google Assistant、Apple Siri

ZigBeeの代名詞とも言えるAqaraが出しているスマートリモコンとハブの兼用モデルです。これまで紹介してきたメッシュネットワークの中継拠点にもなるため、どんなに広い家でも初動のセンサーをトリガーとして、家中のスマートホームの制御を途切れることなく稼働させることが可能です。

インテリアとしても馴染みやすいシンプルなデザインである一方、セットアップ方法にややクセのある製品であり、スマートホームの玄人向け製品と言えます。

Aqara Camera Hub G5 Pro (Wi-Fi):スマートカメラ

本体正面画像
ナイトビジョンの映像

価格(2025年11月時点)

¥28,380

サイズ

約70.5 × 70.5 × 89 mm

重量

377g

解像度

4MP(2688×1520)

視野角

対角133°

ナイトビジョン

True Color Night Vision(f/1.0レンズ、スポットライト内蔵)

電源方式

USB-C(5V/2A)

防水・防塵性能

IP65

スマートホーム連携

Apple HomeKit Secure Video、Amazon Alexa、Google Assistant、Matter、Zigbee、Thread、RTSP、NAS対応

ハブ機能

ZigBeeおよびThreadハブ機能内蔵、Matterブリッジ機能あり

防犯と見守りの両方に対応しているハイエンドなスマートカメラです。高価格に見合う機能性の高さであり、特にナイトビジョンは、暗闇でもはっきりと物体が確認できるほど高精細です。

見た目もマットな質感で高級感があり、野外設置も想定していますが、室内で大切に使いたいなと思えるカメラです。

スマートリモコンとスマートカメラに関する詳細を知りたい方は、以下の記事もチェックして見てください。

Aqara カーテンドライバーE1(トラックバージョン):カーテン

価格(2025年11月時点)

¥11,980

本体サイズ

145.7mm × 46mm × 96mm

本体重量

461g

対応レール

Uレール、Iレール

バッテリー

6000mAh

通信方式

ZigBee3.0

パワー

最大12kgまで制御可能

音声コントロール(SwitchBotハブが必要)

HomeKit、Alexa、Google Assistant、IFTTT、Matter

ハブを中継させることで多数の照明やセンサーを動かすことが可能なAqaraシリーズのカーテンコントローラーです。1回の充電で最大1年間バッテリーが持続し、内蔵された光センサーにより、日差しに応じてカーテンを制御することが可能です。

取り付けも簡単でスマートスピーカーとも連携できるため、わかりやすくスマートホーム化させられるアイテムの一つです。


今回はZigBeeに関する紹介をしました。「裏方の通信規格」として地味に見えるかもしれませんが、スマートホームやIoTが実用レベルで使える理由の多くは ZigBee のおかげといっても過言ではありません。もしも、これからスマートホーム環境を整えるなら、ZigBee対応デバイスは非常に有力な選択肢になるはずです。

また、近年では通信の新しい標準規格である「Matter(マター)」の存在も見逃せません。こちらに関する詳細を知りたい方は、下記の記事もチェックして見てください。

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この記事の執筆者

みやちん

31歳ソフトウェアエンジニア。今は都内のIT系の企業で勤務。仕事がら自動化することが好きなので、スマートホーム系のガジェットを愛用してたりします。ブログの内容で質問などあったらXでDMいただけると回答できます!